<超高齢社会×丸川珠代>
#7-1丸川珠代先生が東京オリンピック・パラリンピックを語る
パラリンピックを機に真の共生社会を
(※この対談は2020年1月21日に収録されました)
丸川 パラリンピックを2回目にやる都市として、1つのレガシーだと思っているのが「バリアフリーの推進」なんですね。バリアフリー法を、実はここ3年の間に2回改正しているんですよ。
山本 変わっているんですね。
丸川 そうなんです。それで私が大臣の時にも、交通のバリアフリー基準やガイドラインを改正していただいて、例えば「駅のバリアフリールートは最短にしてください」とお願いしたんですね。今はターミナル駅、4路線ぐらい乗り込んでいるすごく大きい駅は、「バリアフリールートを複数化してください」とお願いをしていて、例えば新宿駅は今、中央通路のところを工事していると思うんですけども、あそこはバリアフリールートをもう1つ作るために工事をしていただいているんです。
そういうことだったり、あるいはホテルの客室、これも車椅子で動き回れるようにフルフラットにしていただくのと幅80 cmにしてくださいというバリアフリーの基準を作った上で、今まで客室数が50室以上のところに1室あれば良かったんですよ。それでいざパラリンピックをやるということになってみたら本当に足りなくて。日本青年館の横にできたホテルに随分増やしてもらったんですけど、拠点にするので。基準を変えまして、「50室以上のホテルは客室数の1%はきちんと作ってください」ということにしたんですね。なので、100室以上の大きいホテルはきちんとそれに合わせて、これから大きな改築をする時にはバリアフリーの部屋を増やしてもらうことになっています。
それだけではなくてソフトの部分、バリアフリーマップをしっかり作ってください、情報を発信してくださいということだったり、心のバリアフリーを。
山本 心ですか?
丸川 はい。今回のレガシーにしたいと思って。実は新教育指導要領、この指導要領を改めてこの春から小学生はバリアフリー教育を学校で1年生から。
山本 学校で学べるようになるんですね。
丸川 中学校は来年から始まるんです。是非大人の方にもそういうのを色んな場面で受けていただきたいこともあって。
山本 そうですね。子供だけじゃなくて、大人もちゃんと知った方がいいですよね。
丸川 パラリンピック教育の教科書も日本語版を作っていただいて、自分が大臣の時にお願いして作ったやつを、子供が小学校入ったら持って帰ってきて。「ちゃんと勉強してくれている、よかった」と思いましたけれども。(笑)
本当にこのバリアフリーを2020年をきっかけに進めていくことは2040年私たちがいよいよ、団塊ジュニアの世代が高齢社会に入った時に、私たち自身に返ってくることなんですよね。
山本 そうですね。
丸川 そうなんです。いくつになっても自分の意思で行きたいところに行ける、自分1人で駅で単独乗降ができる、今そんな情報も公開するようにしていますけれども、そういう社会を作っていくことで、私たちは例えば障がいだけじゃなくて高齢になっても自由に動ける、認知症になっても支えてもらえる、そういう社会を作っていくことができると思い、それをレガシーにしたいと思っています。
山本 今回のパラリンピックを契機にそこが変化するのはすごくいいことですね。これから団塊ジュニアが高齢化してきても、そういった恩恵が受けられる、自分に返ってくるバリアフリー、且つ教育まで変わって、東京オリンピック・パラリンピックで国民皆がそういったことを意識できるのは素晴らしいことですね。