<超高齢社会×丸川珠代>
#7-2東京オリンピックが決まってスポーツ人口は1000万人増えた!これからの運動は医師が処方する?
治療から予防へ『健康長寿な日本』
丸川 ドイツは運動療法がきちんと生活の中に取り入れられていまして、心筋梗塞などの虚血性心疾患の患者さんの2次予防ですね。これはもうドイツは街中にそういう専門の運動療法のプログラムをしっかりと地域のスポーツクラブが備えていまして、皆必ず心疾患になるとそこへ所属して、そのプログラムを受けるようになっているんです。本当にこれは治療として行っているんです、ドイツは。日本もこれを治療というと色々難しいところもありますので、回復期から維持期にかけての2次予防、あるいはリハビリという形で、運動をお医者さんが処方する。強度であったり、頻度であったり、時間をお医者さんが処方して、心疾患を悪化させない、あるいは回復してきたものを維持することを進めていこうとして、国でも予算をつけています。
山本 そうなんですね。先生が処方してくだされば、少し安心感がありますね。やはり退院した後に自力でスポーツクラブでなんとか…というのは一度心臓病をやった方からすると怖いですよね。また起きたらどうしようとか、やっぱり不安がありますから、医療従事者の方、お医者様がしっかりと処方してくださって、この強度で、これくらいの頻度でというのが明確だとすごく安心感がありますね。
丸川 日本だと心疾患になられると、どうしても運動が怖い、ということになると思いますので、運動を活かして適切に体を元気にしていく、それを維持するっていうことが定着していけばいいなと思って応援しています。
山本 心臓疾患系はちゃんと適度な運動をしないと、やはり良くならないですよね。
丸川 血液循環を良くして行かなくちゃいけませんし、また運動を継続することによって血管の内皮の機能が良くなるんですね。改善されるんです。
山本 運動は特に心臓には一番効きますよね。とはいえ、病気になった方は怖いので…
丸川 やっぱり医療がそこに1枚ね、きちんと入っていくことで
山本 きちんと入ってくださることで、安心して、健康になって、2次予防になる、すごく大事ですね。予防っていうのはすごく大事な観点ですね。
丸川 そうなんです。
私たちも医療はこれから、治療から予防にも力を入れていきたいと思っていて、皆さんそれぞれ国民健康保険か、企業の保険か何かに入っていただいていると思います。この保険者さんが健康づくりの努力をしてくれていることを評価して、皆さんがお支払いになってくれている保険料に反映されているんですけれども、後期高齢者の皆さんに仕送りのような形で送っていただいている負担金があるんですが、これをちょっと軽減したりしています。皆さんがもし地域の保険に入っていれば国民健康保険ということになりますけど、そういうところでスポーツのプログラム・健康づくりのプログラムはどんどんやっていただきたいと思っています。
山本 本当に、今回のオリンピックで更に機運が高まって、より健康長寿・人生100年時代の、世界が憧れる「長寿な日本」が実現できていくかもしれないですね。
丸川 今男性で健康寿命が72.1歳で女性が74歳ですから、75歳は目指せると思っています。
山本 先程の、団塊世代付近の方々が、今75%も運動してらっしゃるのであれば、要介護認定率も下がるかもしれないですし、自立していい老後を暮らせるようになってくるかもしれないですね。
丸川 残念ですけれども要介護認定率32%というのは、このまま放っておくとどんどん上がっていくだろうと。特に若い方たちが運動しない層がいて固定されてしまっているとするならば、それが上がってくる危険性がありますので、できるだけ60代のうち、あるいは50代のうちから運動する習慣を身につけて、介護のお世話にならない体をつくる。心をつくる。そういうことができたらいいなと思っています。