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<超高齢社会×政策>
#5-4 「働き方改革」はなぜ始まったのか?本当の狙いとは?

色々な問題・課題は実は繋がっている

山本 待機児童問題は、やっぱり都会なんですね。

田村 実はこれ、地方創生とも絡んできて。地方創生はどうやって若い人たちを地方に残すかという議論ですけれども、残せないと若い人たちを地方から吸い上げきるまで、都会は待機児童問題が続きます。ピークになってしまうと今度は保育施設が全国的に余りだします。これはまた大変な資源の無駄遣いになってしまう。若い人たちにどう地方に残ってもらうかも、地方創生の部分だけではなくて、待機児童解消問題の部分からも大きな課題になってくるのですね。

山本 色々な問題・課題は繋がっているものなんですね。

田村 それと、地方にいても子育てが十分にできるような環境を作らなければいけないということで、日本版の「ネウボラ」という子育て世代の包括支援センターみたいなものを、今全国で配備しています。
これは「そこに行けば子どもの問題は全部解決できますよ」という窓口を、自治体の方々にご苦労をいただきながら全国に配備をしている最中なんですけれども、そういう環境ができてくれば、安心して地方でも子育てができるよと。それから子どもの貧困問題もこういった形で解決ができるよと。今幼児教育の無償化だとか、高等教育の負担の軽減で、生活保護の家庭のお子さんも大学に行けるような制度改正をやっております。そうやって貧困の連鎖が起こらない環境と、何かあって貧困に入った場合でも安心して子育てができる環境を作っていかなければなりません。

どうしてもストレスが溜まったりして虐待が起きた時に、周りがしっかりとチェックすることによって早期で見つければ…この昨今痛ましい事件がいくつも起こっています。いたいけな可愛いお子さんが命を落とすなんて本当に悲しい出来事です。そういうことを未然に防いでいける社会を作ること、何かあった時にも子どもたちが安心して暮らせる社会を作ることが、「じゃあもう1人子どもを産み育てようか」というところに繋がりますので。
子どもを全体で支援できる社会を作ることが、少子化対策ですね。そしてワークライフバランス、働き方改革、実は全てこういうものが繋がっていると考えておりますね、我々は。

山本 なるほど。働き方改革・ワークライフバランスを実現することで、子どもをちゃんと増やすことに繋がるのですね。目からウロコの部分がありました。全て色々な課題が繋がっている中で、これは絶対やらないといけないですね。
ワークライフバランスをしっかり整えていって、男性がちゃんと家庭の事もできて、家事育児にしっかりと参画できる→女性が活躍する社会を作っていく→それによって生産人口が増えていく→子育てもしやすくなる→地方でも働ける。子育てしながら地方でも仕事がたくさんある状態で、地方創生を完成させる。全部大事なことで、繋がっているんですね。それによって医療介護にも繋がっていくということですよね。

私も「子育て中に介護まで抱えてしまってダブルケアみたいな状態になってしまうともう本当に働けない」という方々の声もお聞きすることがあって、これは本当に全部繋がっているんですよね。人の生活に対する社会保障制度なので。ワークライフバランスを整えるのはすごく重要ですね。

田村 今ワンストップ窓口を作ろうという話をしましたけれども、地域共生社会をどう作っていくかということで、たぶん来年(2020年)に向かって法律を出してくると思います。
そもそも子育ては窓口が分かるかも知れませんけれども、認知症の問題、介護の問題、貧困の問題や色々な問題があるけど、地域住民の方々はどこに行けばいいのか分からないんですね。地域包括支援センターの中に窓口があるんですよという話が今でもちょくちょくあるんです。ところが「地域包括支援センター=高齢者」という意識があるから、そこに気づかないんですよ。

何でも困りごと窓口が一つあって、そこにいったら「これは介護のことだから、地域包括支援センターですね」「子どものことだから、これは日本版ネウボラですね」「貧困のことだから、貧困の窓口行ってください」と、ちゃんと割り振れるようなものを作ろうじゃないか、という議論が今出てきています。
何でも困ったことに対しての窓口。

昔はそういう問題は地域社会の中で解決する能力があったのですが、今はありません。街づくり・社会づくりの視点からすると、そういう窓口を作ることが、地域住民の方々に安心して生活をしていただくための要になってくるんじゃないのかなと思っています。これが来年に向かって動いてくるのではないかと。今、色々な議論を始め出しております。

山本 国民にとってはすごく嬉しいことですね。子どもが産まれた時に行く窓口、困った時に行く窓口、どこに行くか全部違うので。本当に自治体様がコンシェルジュになっていただいている。

田村 ただよほど能力がないと、相談に来られても、どこに繫げれば良いのかわからない。

山本 幅広いですからね。

田村 でも私は「それってAIでできるんじゃないの?」と言っているんです。自治体の仕組みさえちゃんとその中に組み込まれていれば、「その問題はここ!」と。人がいて、AI・端末をちゃんと使えるような能力があれば、あとはAIで学ばせたことで割り振っていけますから。実は人材も、これからの日本の国や世界の技術の進展の中においては問題になってこないんじゃないのかな、と。

山本 なるほど。まさにここに新しい技術を使うポイントなのですね。

田村 我々が社会保障・福祉・医療の色々な課題を解決しようと思う時は、クラウドやAI、ICT、ロボティクスのことを常に頭に入れながら、問題解決の糸口を探しているんです。

山本 ICTベンダーもそこを意識して、お役に立つものを作っていかないといけないですね。まだまだ技術の活躍する場が日本は多いですね。

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