<超高齢社会×丸川珠代>
#7-3 アフター東京オリンピック、日本はどうなる?丸川珠代先生の新しい発想
丸川 そして東京が牽引力になって、地方にもしっかりその恩恵が及んでいくようにしなければいけないと思います。今回のオリンピックはやっぱり日本の魅力を発信する、またとない機会なんですね。世界の48億の人がオリンピックをテレビかインターネットで観るだろうと言われているんですよ。これって世界の人口の6割なんですね。世界の人口の6割の人が何らかの形で日本の今を見るわけですよ。ここにどれだけ私たちが魅力的な憧れの日本の姿を映し込めるかってことは、1つの鍵になると思っています。
山本 今年はすごく大事な年ですね。日本をあげて日本の良さを世界中に発信したいですね。
丸川 日本を目指して来る外国人観光客のお客様は日本の食をとっても楽しみにおいでになっているんです。
山本 お食事、日本食ですね。
丸川 日本食を日本で食べたいという目的で来られる方がナンバーワンなので、日本食の魅力を世界に発信していくことを重点において取り組んでいます。選手村でもおかげさまで食堂で、期間中100万食ぐらいご飯を出すんですよ。
山本 100万食!
丸川 朝の6時頃から夜中の1時ぐらいまで食事を出さなきゃいけないと思うんですね。競技がそれだけ時間の幅がありますので。その食堂でご飯を出す時には食材が○○県産というところをちゃんと表示して、その日本の地方からおいしい食材が集まってきているっていうことを、世界から集まったトップアスリートにちゃんと見ていただけるようにします。
山本 日本にはいろんな産地があって、美味しいものがたくさんあるということも、分かるようになるんですね。
丸川 そうなんです。四季が多様で、日本中で美味しい素材を集めてそれができているんだということを、伝えたいなぁと思っています。
山本 素晴らしいですね。日本食って世界で人気ですよね。
丸川 今「ジャパン・ハウス」というのを作ったんですね。日本文化の発信のために作ったのですが、ロンドン、ブラジルのサンパウロ、それからロサンゼルス。全部ご飯を食べる所を直営しています。
山本 「ジャパン・ハウス」の中に食事できるところがあるんですね。
丸川 直営って言っても、実際にはそこを運営するところを公募して入ってもらっているんですけども、日本政府が方針を立てて、それを採用していただいて、日本食の発信をジャパン・ハウスで実際に食事を提供することを通じてやっていただいているんです。 おかげさまで大変人気です。
山本 世界中で和食は人気で、健康食でいいですよね。
丸川 是非これを機会に日本の食材を海外に輸出する量を一気に増やしたいと思っているんですね。海外に輸出するためには「グローバルGAP」 っていう認証をとってなくちゃいけないので。この「グローバルGAP」っていうのは、食材を作るところから安全が担保されているかってことをきちんと記録にとって残していかないといけないんです。
山本 トレーサビリティですね。
例えば、農場で野菜を作っています、毒を入れに来る人がいないようになっていますか?こういう管理もしなくちゃいけないので。とにかく「グローバルGAP 認証」を今回のオリンピック・パラリンピックの食材を入れる時に取っていただいて、その分をそのまま海外に輸出できるようにしたいと考えています。
山本 農業が日本の素晴らしい産業になっていくんですね。成長産業ですね。
丸川 成長産業でいうと、地域でスポーツの核になるスタジアムやアリーナをもっともっと、地域の活性化とか地域の成長に活かしてもらいたいっていうことで、今スポーツの団体を経営する皆さんにマネジメントを研修していただくようなプログラムも支援をしていて、経営感覚を持ってスタジアムを運営していただいたり、アリーナを運営していただくことによって、スポーツ観戦の周りに拡がる人の繋がり、イベントの繋がり、あるいは産業との繋がりということをもっともっと分厚くしていきたいと思っています。
山本 スポーツは地方創生にもなっていくんですね。
丸川 そういうものをすべて合わせて、スポーツビジネス5.5兆円を2025年に15兆円にしたいという目標を国で掲げているんです。
山本 オリンピックに向けてBリーグ・バスケットボールもプロリーグができて、Tリーグ・卓球もできて、どんどんプロスポーツが活性化してきて、良い選手がどんどん集まってきて、レベルもあがって、メダルも狙えるくらいになってくると思いますし。
丸川 プロリーグで頑張っている選手たちをきちんとサポートする好循環ができていくことによって、観る楽しみも広がりますし、参加する人も増えていくし、なによりプロの選手が公的な場所に来て指導ができるようになるといいなと。一時的に体験するのではなくて、市民の集まりとか地域のスポーツクラブで定期的に指導ができるような環境を整備していきたいと思います。
山本 地域のスターが教えに来てくださったら、皆さん相当嬉しいですよね。
丸川 でもね、難しいんですよ。公的な施設では営利目的の指導はしてはいけない、という規程があるところがあるんです。そういうものを変えていかなくちゃいけない。
山本 スポーツは成長産業だと思いますし、プロで活躍する選手が身近にいるっていうのは、なかなかアメリカまでNBAを観に行くのはちょっと大変だと思いますけど、身近で B リーグのスター選手がいっぱい来て下さるとすごくいいですよね。
丸川 そういう選手たちが例えば自治体に入って直接指導をする立場になってもいいかな、自治体職員として。今までそういう発想がなかったので、新しい発想でスポーツを地域の経済の中に取り入れていく取り組みっていうのをサポートして行きたいなと思います。