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<超高齢社会×政策>
#5-6 少子化問題があるからこそ超高齢社会を乗り切れる!?田村憲久先生の秘策

少子化だからこそ超高齢社会を乗り切れる

山本 課題がたくさんある超高齢社会の日本ですが、まだまだこれから先明るい未来が待っているということですよね。

田村 今大変閉塞感が強い日本の国の現状。それはなぜかと言うと、少子化で生産年齢人口が減って、逆に高齢者が増えている。つまり支えられる側が増えていって支える側が減っていく。これは色々な意味で「将来ないよね」と思っておられる方々が多いと思うんです。ただ私は少子化だからこそ高齢化を乗り切れると思っていまして。

山本 え、そうなんですか!?(驚)

田村 なぜかと言うと、日本の高齢化は平均寿命が伸びているのみならず、健康寿命も伸びているわけですよね。つまり元気な高齢者は社会活動できる、働けるんです。ところが若い人たちが多いと、高齢者が働くと若い人達は失業するんですよ。失業の問題は国にとって一番大きな課題なのです。だけど日本の場合は生産年齢人口がこれから急激に減ります。2040年までに1500万人。さらにそれから20年~25年の間にまた1500万人。合計3000万人減るんです、凄いですよ。国の人口が1億ちょっとの中で3000万人、働く・支える側が減ってしまうということですから。

でもそのぶん高齢者がしっかりと働いても失業の問題がないという話になる。つまり高齢者に働いていただけるうちは、支えられる側の方々が支える側に回ります。だから高齢化社会を乗り切れるのは、(望んだ少子化じゃありませんけど)実は結果として少子化だからこそ乗り切れるのです。
もちろん女性の力もお借りする。それでも足らない、だから外国人、という話になるんですけれども、外国人もいつまで来てもらえるかわかりません。
そんな中で、やっぱり技術の進歩ですよね。今まさに、今まで想像にもつかなかったAIだとかロボティクスだとか、クラウドサービスだとか、いろんなものが出てきて世界中がそれを入れたいんですけども、入れると人が余ってしまうのではないかと。

山本 そうですね、AIに仕事を奪われてしまう可能性はずっと言われていますね。

田村 政府にとってみれば、生産性を上げたいけれど、その結果失業率が上がってしまうと国が安定しない。どこの国もそうですよね。若年層の失業率が増えて、色々な国家主義みたいなのが生まれたり、左翼勢力が強くなったりがあって、国が衝突するわけですよ。でも日本の場合は、若年層の失業の心配をしなくていいので、 AI やロボティクスをドンドン入れられるんですよ。これは入れられるんじゃないんです、「入れざるを得ない」のです。日本の国は第二次世界大戦、その前の明治維新、外圧で大きく変わったんですよね。今はもう戦争はない時代ですけど、今度はこの少子化という内圧で変わっていく。

もう高齢者は一定程度で減りませんから、高齢者向けのサービスは必要なんです。ところが供給者がいなくなってしまうので、いかにAIやロボティクスで生産性を上がるか。これをやらないと生活ができませんから、やらざるを得ない中で大きく国が変わります。ただでさえ生産性の伸びが低いところで伸びしろがある中で、生産性が上がりますから、国際競争力も非常につくチャンスがあると。

山本 課題が多い国だからこそ、チャンスも多いということですよね。

田村 私は少子高齢化はチャンスだと思いますね。国が変われる、そして同時に少子化は解決しなければいけません。どこかでは出生率2を超えるような社会にしますが、でもその子どもたちが社会の中心で働く40歳になるまで、今から10年後に(出生率が)2になっても50年。この50年ぐらいは急激に支え手側が減るんですから。この50年を日本が乗り切るためには、今申し上げた技術(クラウド、AI等)をどう使っていくかが、我々にとって大きな課題になってくる…いや課題というか、もうやらざるを得ないですから。
チャンスになってきます。

山本 チャンスになってきますね。チャレンジする場がたくさんいただけるということですね。

田村 ですから、皆さんに大変期待をしているところですね。

山本 ありがとうございます。

田村 そしてまさに少子化時代と言いながら、人生100年時代。人生100年時代は、ただ単に人生100年長生きするだけじゃなくて、その間いかに健康でいられる期間を長くするか。健康であれば社会の中に参画ができる。それは地域活動もあれば、仕事という部分で労働をされる方々もおられる。その方々が支えられる側じゃなくて支える側に回ることによって、この超高齢社会を乗り切っていけるわけですから。
100年を人生で迎えて「なんか長生きで不幸せだったな」となるんじゃなくて、「100年生きて、充実した人生で本当に幸せだったな」と思ってもらえるような環境を、どうやって作っていくかということが我々の大きな仕事だと思いますね。

山本 なるほど。健康長寿で100年も生きられる素晴らしい国なんだ、ということを実現するのが、日本の一番誇るべきことなのでしょうね。

田村 ただ大きな課題は、認知症の方々が安心して暮らしていける社会をどのような形で作るかだと思います。我々も自民党・公明党で「認知症基本法案」を前国会に提出を致しました。この中にはもちろん「認知症発症を遅らせる」とか、「認知症になった後に周辺症状をどうやって抑えていくか」とか、そういう課題もありますし、予防薬みたいなものが作れるのならば…今アルツハイマー型に関しては製薬会社が(失敗もしていますけれども)まだ幾つか残っているんですよ。

アミロイドβ、タウ・タンパク質…こういうものをどう除去していくかみたいな中でしのぎを削っておられますが、日本の製薬メーカーも参画しております。ある意味、日本が世界の認知症を救うのかもしれません。とは言いながら、認知症はアルツハイマー型だけではありませんから、いろんな形で認知症の方々がお増えになられると思います。

元気で100年間生きるのが目標ですけども、そうならなかった場合、それでも地域で安心して暮らせる社会が、人生100年生きたときに「我々よかったね」という話になりますので。認知症のこれからの施策をどう進めていくか、人権を守りながらどのような形で日々安心して生活していただけるか、こういうのも大きな課題として、政治の大きな課題として取り組んで参りたいと思います。

山本 健康長寿で長生きすることができて、チャレンジもできる国で、100年時代を健康に過ごしていきながら、認知症になっても住み慣れた我が街・我が家で生活できる、まさに「地域包括ケア」「地域共生社会」を実現できるのが、日本だとどうしても重要なことですね。

田村 大きな課題だと思いますが、これはそのまま「街づくり」ですから。政治の原点ですね。住みよい街を作ること、安心できる街を作ること。これは我々、しっかり取り組んでいきたいと思いますし、そのためにも皆様方のような民間のお力を、その実現のためにお力をお貸しいただけるとありがたいと思います。

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