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<超高齢社会×政策>
#5-2 元厚生労働大臣 田村憲久先生が語る「地域医療構想」「地域包括ケアシステム」とは

資源を最大限に活かす「地域包括ケアシステム」

山本 続きまして、医療介護業界の今後の展望について少しお話をさせてください。

田村 はい。ちょうど私が大臣の時に、「医療介護総合確保推進法」という19本ぐらいの法律を1本にまとめた法律を成立させました。…だいぶ野党の皆さんからお叱りを受けたのですけれども(笑)

山本 はい。

田村 今それに則っていろんなものが動き出して、一つは「地域医療構想」ですね。ベッドが全国にかなりあるんですけれども、120万床以上のベッドを最適配分していかなければならない。
高齢者が増えてくると、どうしても急性期で入院されて→自宅に帰って→在宅で医療を受けるまでにある程度回復していただかないと、いきなり在宅に戻してしまうとなかなか生活が成り立たないことがあります。回復期のベッドを増やして行って、そこでリハビリをしながら自宅で生活できるような環境を作るという意味で、全国それぞれの圏域で、どういうベッドの配分をしていくか。
この間、公立病院のベッドの機能転換の話が出てだいぶ波紋を呼んだのですが。
これは丁寧にやらなければいけないし、今ある資源を最大限に活かしながら、国民の皆さんのニーズに応えられる対応をしていかなければなりません。早急に実現しなければならないと思っています。

山本 つまり急性期のベッドと回復期のベッドと、様々な病院様が連携しながら地域全体で役割を担う。それを実現するのが「地域医療構想」なのですね。

田村 ですから、色々なご不安があると思いますけれども、不安に思われているのが顕在化してしまうと困るので、こちらは最適な状況を作るのが一番の目的なのです。例えばその結果、この疾病に対する手術が出来なくなってしまった、みたいな話だと困りますから。そうならないように、ちゃんときめ細かく対応をすることが大事になってくると思いますね。

山本 地域ごとに少し形も変わってくる可能性があるということですよね。

田村 そうです。人口構成も違いますし、その地域で多い疾病分類も違ってきますから。それぞれの地域に応じて、ベッドの最適配分ができるような状況を作るのが目標ですね。

山本 なるほど。どうしても急性期病院が沢山あったりとか、回復期が足りないとか、そういう問題を地域ごとに最適化して、それぞれの地域が住みやすい街になっていくような医療の配分が実現できるようにということですね。

田村 それともう一つは「地域包括ケアシステム」も先ほど言った法律の中で位置づけられてきたのですが、なかなか「地域包括ケア」と言っても、よく聞くけどわかりづらいということで(笑)医療介護のみならず、健康作りもこの中に入っておりますし、住まいも入ってきますし、「まちづくり」と言った方が良いのかもしれません。今、「地域共生社会」という概念が出てきていますけれども、よく似た概念だと考えていただいて結構だと思います。
ですから、地域包括ケアシステムは元々「高齢者」という一つの大きなキーワードがあったのですが、そうではなくて他の障がいをお持ちの方々や、お子さんや、色々な福祉にかかわる方々、社会で生活される方々が安心して暮らせる地域を創るのが「地域包括ケア」であり、「地域共生社会」だとお考えいただいて良いと思います。その中で大きな役割は医療・介護になってきます。医療だと、在宅医療を中心にどう見据えて行けるか、そういう環境整備をどうしていくか、というのが一つ。
そして医療と介護の連携において、介護の方々が生活をケアしてく中で、どのような形でうまく資源を配分していくかも大きな課題になってくると思います。
合わせて、どうしても ICT が入ってこないと対応できないので、在宅でICTを使いながら、体のバイタルデータをチェックしながら、その中で日々の生活、健康管理をしていただくこともやっていかなければと思います。それと実は、介護事業者の方々は自治体に色々な届け出書類があるのですが、バラバラなんですね、自治体で。

山本 自治体ごとにバラバラなんですね。

田村 そうなんです。それで、小泉環境大臣は以前、厚生労働部会長をやっておられて、私がその担当の政調会長代理だったので、二人で「介護の届出書類をもうちょっと標準化していかなければ」ということで取り組み始めました。ですからもちろん自治体においてそれぞれ特色が一定程度あっていいんですけれども、ある程度コアのものは標準化しようと動いています。

山本 それは介護の現場にとって、とてもありがたいことですね。

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