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<超高齢社会×政策>
#5-1 厚生労働分野一筋!元厚生労働大臣の田村憲久先生が語る少子高齢化社会の財政課題

超高齢社会の人口バランスと財政課題

山本 では、元厚生労働大臣の田村先生から、日本の超高齢社会の課題について教えていただければと思います。

田村 高齢化・超高齢化の速度が非常に速いということで、1970年にこの国は高齢化社会に入りました。結構昔のイメージがあるんですけども。WHOの基準で、人口に占める高齢者の割合が7%を超えると高齢化社会と言うのですが、その後、高齢社会 (14%超) ・超高齢社会(21%超)…
今現在では高齢者の比率28%位になっていると思うんですけれども。

山本 そうですね、次の段階に入っているくらいですね。超・超高齢社会ですね。

田村 しかもこれから75歳以上の方々の人口が急激に増えてきます。直近の課題だとちょうど2022年から団塊の世代が75歳に入りだすんですね。75歳がなぜポイントかというと、一つは要介護・要支援認定率。75歳までだと4%強ですが、75歳以上の平均はもう30%を超えてきますので、要介護者・要支援者が急激に増えてくる。

山本 10倍くらいまで認定率が跳ね上がるのですね。

田村 それともう一つは医療。これも75歳が一つのポイントで、例えば65歳から69歳までの一人当たりの国民医療費が大体48~49万円ぐらいなんですね。これが70歳から74歳になると若干増えて64万円強、そして75歳以上になると90万円を超えてきます。
ですから75歳になると、急激に医療の費用も平均的に増えていく。医療費の伸び、社会保障費の伸びがグッと広がってしまうんですね。国はなんとか、2025年に向けてプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化していきたいと。
分かりやすく言うと、借金の元利払いってありますよね。今、元金と利息を払っています。それを国債費という形で予算に計上しています。この国債費を抜いて財政を均衡させようと。「国債費はとりあえず仕方がない。それ以外の部分で入ってくるお金と、出て行く政策費を均衡化させたい」というのが2025年なのです。

山本 2025年に向けて、その政策が。

田村 ところが2025年に団塊の世代の方々が全員75歳以上に入ってくるので、すごく医療費と介護費が伸びてしまうのです。これが社会保障の喫緊の一番大きな課題になってきます。

山本 財政課題がすごくあるということですよね。

田村 それともう一つは少子化が進んでいますが、医療も介護もマンパワーが一番重要じゃないですか。人件費率も非常に高い職種ですから、マンパワーが足りなくなってしまう。支え手がいないとなると、例えば介護をする人をどうやって確保するんだ、みたいな課題が出てくるわけですね。そういうマンパワーの問題、財政的な問題をどう解決していくか。
財政的な部分から言うと、医療は特に薬、再生医療などでどんどん「効くけど高い」というのが出てきます。ありがたい話なのですが、財政的にはこういうものも大きな課題になってきますので。
これをどうやって解決していくかが、これから非常に頭が痛いところになってくると思いますね。

山本 なるほど。財政の問題、少子化による生産人口の低下の問題、人の数の問題、この中でどうバランスをとっていくのかが日本の抱える課題なのではないかと。

田村 はい。

山本 生産人口が多くて、子どもが多ければあまり悩むことではなく、発展していくということなのですね。

田村 支え手が多ければ、マンパワーという意味合いもありますけども、保険料を納めていただいたりしますから。財政的にも支え手が多いと医療や介護も持続可能になるんですけれども、支え手が少ないということは、どうやってファイナンスを回していくかも大きな課題になってくると思いますね。

山本 人の数は、財政にも関わってくる問題なのですね。

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