<超高齢社会×ラーメン>
#3-4 新井田社長の「働き方改革」は働く方に優しい
幸楽苑の「働き方改革」は働く方に優しい
山本 他にも働き方改革で取り組んでいらっしゃることはありますか。
新井田 たくさんあります。私も現場で働いた頃があって、やはり色々大変なことや辛いことがたくさんありました。そのように働いている人を楽にしてあげたいと思っています。例えば、現場の人が本社の方に報告するのに、15年前は紙で書いていました。
山本 報告書を。
新井田 ええ。報告書をファクスするなどがもう15年も変わっていないのです。今はもうスマホの時代ですから、報告を送る時などは 写真を撮るなどのようなスキームを入れて、ペーパーレスでできるようにしています。
あと、ラーメンのどんぶりに麺とスープを入れると、結構、重たいんですね。
山本 そうですよね。
新井田 それをお客さまの席へお届けに行くのですが、やはり重たいと手に疲労がたまります。今は、見た目もそれほど陶器の器に遜色ないぐらいのメラミンが開発されていますので、少しでも負担を軽くしてあげたいという思いで、軽量の素材を近いうちに全店に導入したいと思っています。
山本 かなり軽くなりますか。
新井田 かなり軽くなります。これは、本当に1日1杯だけだったらいいのですが、1日何百杯と運ぶわけですから、その重さが500グラム軽いだけで、非常に違ってきます。
山本 そうですね。負荷がかなり変わりますよね。
新井田 体への負荷が違います。幸楽苑は、若い人は高校生でも働いていますし、上の方はそれこそ本当に高齢な方といいますか、60歳を超えた方も働いている職場です。
やはり高齢の方は腕力も弱ってきたりしますから、そのような方でも体の負担が少しでも軽くなればと思って、メラミン食器というのも開発してきて、やっとそれが導入できる目処が立ってきました。
山本 本当に超高齢社会向けのラーメンチェーンですね。
働く方にも優しい。
新井田 そうですね。働く方が楽になってほしいということです。それでも、まだまだ改革しないといけないところはたくさんありますが、できるところからやっていこうと思っています。
山本 サービス業、外食産業においても、高齢者の働く方は増えてきていらっしゃいますよね。
新井田 そうです。増えてきていますし、間違いなくもう日本は高齢化しています。お客さまも高齢化していますし、あとは、働く人も高齢化していきます。それに合わせて我々も変化していかないといけない。たまたまこの前、自分のお店を見ていて感じたことなのですが、お昼1時前後で、10人くらい座れるテーブルがありまして、そこの椅子というのが丸椅子で背もたれがないのです。
山本 なるほど。よくありますよね。
新井田 よくありますよね、そういう席は。
私はそれを見ていたのですが、結構、そこに座っているお客さまで、明らかに60歳を超えている高齢の方が、その丸椅子に座って食べていただいていたのです。
そのお店は開店して20年が経ちます。何を言いたいかというと、今60歳でうちのお店に来てくださるお客さまは、40歳のときから来てくれているわけです。
山本 常連で来てくださっているファンですね。
新井田 そうです。40歳のときは丸椅子で背もたれがなくて良かったかもしれませんが、ご高齢になっても有難いことにお店に通ってくださるわけですよね。そうすると、やはり背もたれがあって、ゆったり座れるようなレイアウトに、これからお店を直していかないといけないと感じました。
山本 なるほど。確かにそうかもしれないですね。
新井田 そうなのです。細かいことですが、そういうことを高齢社会に向けて、我々もお店のレイアウトや作りを変えていかないといけないと、本当に感じます。
山本 やはりそういう視点を持たれているということは素晴らしいことですよね。サービス業は、お客さまがいかに快適に過ごせるか、その空間にいる時間がとても素晴らしい時間になるというのは良いことです。
新井田 そうですね。おっしゃるとおりです。