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対談風景

<超高齢社会×ラーメン>
#3-3 2億円事件の真相と従業員への思い

従業員への思いと「幸楽苑2億円事件」の真相

山本 では、外食産業においての働き方改革についてお話をお伺いしたいのですが、新井田社長の「幸楽苑2億円事件」の真相について、是非お聞きしたいと思いまして、教えていただけますでしょうか。

新井田 分かりました。「2億円事件」というのは、2018年の12月31日大晦日の15時から2019年1月1日を、幸楽苑のほぼ全店をお休みにするというものでした。

山本 全店ですか。

新井田 ええ。ということを決めまして。これまで幸楽苑は商売を始めて64年間、一度も大晦日も正月も休んだことはありませんでした。

山本 64年間、年末年始は休まずにずっと営業されていたのですね。

新井田 営業してきました。それを、2018年は初めて、大晦日の一部と1月1日を休みにするという、当社にとってはかなり大きな決断をしました。毎年、初詣の後に当社を利用してくださっているお客さまはたくさんいて、正月は1日で25万人くらいのお客さまがご来店されます。

山本 正月1日で25万人来店されるのですね!

新井田 そのため、何の告知もしないで休んでしまったら、お客さまにご迷惑をかけるということで、大晦日に新聞広告を全国に入れまして、その広告内容が「2億円事件」というもので、年末年始の1日半を休むと、売り上げが2億円なくなるのです。

山本 1日半で2億円の売り上げがなくなるのですか…。

新井田 それよりも、働く人の気持ちを大切にしたいという思いで、64年の歴史の中で初めてお休みすることに踏み切りました。そしてお客さまにはご不便をおかけますが、ご理解してほしいという趣旨の新聞広告を出しました。

山本 それがあの「2億円事件」なのですね。

新井田 決してこちらでそれを㏚したいということではなく、単純に多くのお客さまにご迷惑を掛けるので、それを告知しないとという思いで広告を出しましたが、ネットやいろいろな所で、それが評判を呼びまして、おかげさまで、朝日新聞さんの「朝日広告賞」という非常に栄誉ある賞をいただきました。

山本 広告賞を取られたのですね。

新井田 ええ。広告賞をいただきました。ですので、本当に一番、私が社長になってやりたかったことは、飲食業界というか外食産業というか、小売りも同じで、お客さまがお休みのときにサービスすることがサービス業だという当たり前の話なのですが、そのようなことに少し風穴を開けたいという思いもありました。特に当社の社員に関しては、いろいろと会社がいいときも悪いときもずっと頑張ってきてくれたので、正月くらいは少しお休みを味わってほしいという思いで、2018年11月に決断しました。結構、休むというだけでも、いろいろ調整が大変でした。

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上条 そうですよね。

新井田 1カ月と少しでそれを行って、新聞広告を出してということだったのですが、要は、働く人の満足度を高めないと、結果としてお客さまの満足度につながらないという思いでした。まず、働く人たちのモチベーションを上げたいということで、何かないのかというのもありまして、実施しました。

山本 素晴らしいことですよね。従業員の満足度は相当上がったと思います。

新井田 そうですね。本当うれしいことに、皆さんが喜んでくれました。中には、お店のパートさんで面識のない方から、お礼のお手紙をいただいて、本当に社長としてもうれしかったです。皆さんが、働く仲間が喜んでくれているので。

山本 本当に幸楽苑全体で、いい人間関係が構築できて、皆で一つのファミリーのようになっていますね。

新井田 そうです。結束感は高まったのではないかと思います。

山本 なるほど。経営者として2億円を失うというのは、なかなか勇気が要ることだと思いますが、逆にそれで、従業員満足度も上がって、しっかりと社員さんのことを考えているということを出されたことによって、お客さまもきっと納得してくださっていると思います。

新井田 そうですね。

山本 逆に評判がよくなって、皆さんがより幸楽苑を好きになるのではないかと、感じました!

新井田 ありがとうございます。まさに、本当に短期で2億円を失うことなのですが、本当に5年、10年、20年という単位で見たら、その2億円を失ったことは、十分にペイできると。そういうことで、少し強がって言っているところもありますが(笑)、やはり「損して得取れ」という言葉がありますように、長い目で見て、働く人とお客さまに何がプラスなのかということも、足元で売上や利益も大事ですが、そのような長期の視点も経営には必要ではないかと思っています。

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山本 素晴らしいです。どうしても皆、短期的な視点になりがちですが、やはりサービス業であり、国民食であるラーメンなので、愛される、愛され続けるというのは大事ですね。

新井田 そうですね。

山本 働く方々も満足度が上がって、お客さまもとても満足されて、かつ長く愛していただけるような会社であり続けるというのは、素晴らしいです。

新井田 そうです。

上条 今日でだいぶ好きになりました。今までも美味しくて安くてとても好きだったのに、今日のお話を聞いて、もっと好きになりました!

新井田様3-7

山本 そうですよね!いい会社だと思います。

新井田 ありがとうございます。

山本 このような方が作ってくださるラーメンは、食べていてうれしいですよね。

上条 そうですね。

新井田 ありがとうございます。

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