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坂井直樹

<超高齢社会×デザイン>
#1-1世界的コンセプター坂井直樹さん

日本企業はまだ戦える?

山本 中国やイスラエルなど、最先端のものがどんどん出てきているという状況で、グローバル社会の中で日本社会は遅れてしまっている。キャッシュレスとか EVとか自動運転、様々なところで先に他の国にやられてしまっているような状態が続いていると思うのですけれども、そういう中で日本企業がどうやって戦っていくのか、あとは中国企業の強みというのもあると思いますので、是非その辺のご見解もお聞きできると嬉しいなと思います。

坂井 メカトロニクスまでは日本が非常に強かったのです。それ以降ソフトウェアが入ってきたりサービスデザインが入ってきたりというところでガッと差がついちゃったという構造だと思う。ただ日本の人自体は非常に優秀なんですよね。 僕が日本人だからそう言うんじゃなくて、本当に比較しても日本のデザイナーやエンジニアはめちゃくちゃ優秀ですよ。だから、 僕はある程度本当に切羽詰まったら頑張るような気がするんですよ。
まだちょっと日本の社会の破綻の仕方が甘い。

山本 もっともっと追い込まれたら、本当の力が発揮できるんじゃないか。

坂井 そういう言い方がいいかどうかわからないけどね。でも本気でそう思いますよ。

山本 きめ細やかさとかそういったところについては日本は圧倒的に強いと思うのですけれども。たしかに中国製とか他の所の製品は全体的にはすごく良いスキームだなと思うんですけども細かいところが雑だなと思うところはありますよね。

坂井 それとエレクトロニクスがどんどん入っていったというのはそうなんだけど、例えばカメラとか、プリンターとか、これは機械的な動作というのはなくならないですよね。そこはもう日本人は大得意ですね。

山本 そういった精密的なところは非常に日本は強い。

坂井 ただEVなんかでちょっと心配なのは、電子部品の構成で作られてくるじゃないですか。エンジンもないしブレーキもないということになると、ソフトウェアが強い国が勝つような気がしますね。

山本 やっぱりご経験上、ソフトウェアの分野は日本はまだちょっと弱いんじゃないかと感じられるのですね。

坂井 圧倒的にプログラマーが足りないでしょ。

山本 そうですね。人口の数で言っても負けてますが、エンジニアの人口比も負けているような気はします。

大企業なんて入らずに自分でやりなさい

坂井 僕が5歳児からSTEM教育をやろうとしているのはそういうことなんですね。長い目でみればその5歳児はいずれ15歳になったらもう参加できますよね。エストニアなんかは15歳で、自分で起業しているような子はいっぱいいますからね。

山本 15歳で起業される方が?

坂井 プログラミングが書けるということと英語が喋れる、この条件がそろうと物理的コストがゼロで起業できる。ネットを使えば。そういう状況は日本にもきっと生まれるはずです。

山本 やはり世界を見ると起業する若者が非常に増えて、深圳なんかは非常に起業家が多い。

坂井 10人に1人が社長ですからね。 

山本 そうですね、10人に1人は相当な数だと思いますが、日本で起業家が増えていかないとか、新しいベンチャーがなかなか生まれて来ないというのが最近の状況かと思うのですけれど、その辺について何か慶應義塾大学で教えていらっしゃったり、幼児のSTEM教育や、校長もやっていらっしゃる坂井さんから見て、起業家を育成する教育論を是非教えていただければと思います。

坂井 僕は大学で教えていた時は常に大企業なんて入らずに自分でやりなさいという教育をしていて、結局25人ゼミ生がいて7名は独立して会社を作っていますからね。

山本 25人中7人も起業されている?

坂井 効率は良い方ですね。全然違うのだけど4組も結婚しています。同じゼミの中で。みんな仲良しなのです。

山本 まとまりがあるゼミですね。

坂井 そうですね。今から考えると。私が教師だから変な教育していたと思うんだけど、結果としていい結果かなと思っています。

山本 実際その起業した方々というのはどういう分野で起業した方が多かったですか。

坂井 1つはCoineyという決済の世界と、あとはecboといって、駅でトランクを収納するロッカーがすごい足りないんですよね。特にインバウンドが増えて。喫茶店でもレストランでもどこでもいいからバックを預かってくれと交渉して、そこにおけるようにしたのです。コインロッカーと同じ条件で。

山本 ロッカーのシェアリングみたいな。

坂井 それで何が起きたかというと、1回来たらご飯を食べてくれるしお茶を飲んでくれるのですよね。お客さんの売り上げが増えながらロッカーの売上が増えたらいいと思う。

山本 場所をシェアリングしていくことで、様々な経済が動いていくということですね。

坂井 それは結構僕は評価しています。実際資金も集まって、うまく回っていますね。
あとは女性専門の漢方薬で台湾で起業した子とか、あとハーブを人工知能で配合するというサービスを始めたり。まぁまぁ面白いアイデアが出てきていますね。

山本 慶應義塾大学大学は起業する方が比較的多いですよね。

坂井 特にSFCはね。三田はもうちょっとエリートですけど。

山本 たしかに慶應義塾大学のSFCは非常に起業する方が多い。私の上場社長の友達にもSFC出身の方がいらっしゃって。

坂井 クックパッドもそうですよね。あとブレーンパッドというビッグデータの分析をやっている会社もありましたね。

山本 あとじげんもそうなので。特にマザーズ社長は慶應義塾大学出身者が非常に多い。

坂井 個人の能力もあるのですけど、数が結構多い。OBが40万人いますので。そういう人たちがサポートするという関係が働いているんですね。

山本 じゃあ慶應義塾大学ネットワークの中でエコシステムができているということなんですね。

坂井 学生たちも他の大学と比べると卒業後もつるんでいますね。

山本 非常につながりが深いのですね。

坂井 なんでそういうことになっているのか分かりませんけど、それはいい面かなと思います。

山本 そういうメンタリング含めて、繋がりが強くてしっかりエコシステムができているというのは強みとして良いですね。そういう教育というかネットワークがずっと出来ていくのは強みになりますね。

坂井 ただ毎週誰かが相談に来るんでね。僕はもう給料もらってないんですけどね。

山本 どんどん坂井さんのところに集まってくるのですね。

坂井 洒落ですけどね。ありがたいことです。

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